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北朝鮮の法秩序 その成立と変容  高ヒット
2017/3/7 14:32 投稿者: manager (記事一覧) [ 1451hit ]

北朝鮮の法秩序──その成立と変容

著 者 藤井 新
編 者 平岩俊司 鐸木昌之 坂井隆 礒﨑敦仁
発 行    小石川ユニット

発 売 株式会社 世織書房

編 集    赤羽高樹
装 丁    田中等
データ入力    枝松順子
パブリシティ・組版    デルタネットデザイン 新井満
印刷・製本    株式会社 シナノパブリッシングプレス

 

刊行にあたって──編者まえがき

著者の藤井新さんは、外交官として活躍中の二〇〇四年一月二七日に、逝去された。享年四四歳であった。今年で一〇回忌である。それを機に、北朝鮮研究者でもあった藤井さんが書いた論文を集めて出版することを企画した。それが本書である。
四人が編者となったが、最初にこの案を出したのは、平岩俊司氏である。平岩さんは、藤井さんの最も近い親友であった。藤井さんと平岩氏の仲は、我々も入れない何かがあった。それは、単なる男同士の友情だけではなく、「仁義」とでもいうべきものを感じさせた。その根幹には、藤井さんの人徳があった。「藤井さんのためなら」という我々の思いがこの出版の企画を動かした。
藤井さんが北朝鮮研究を志したのは、米国留学を終えてからである。米国留学は外務省からの派遣で、修士論文は、在日韓国朝鮮人に関する法的問題であった。帰国直後、平岩さんの紹介で居酒屋で藤井さんと初めて一献傾けた。藤井さんの、巨躯とは対照的にあどけない笑顔は純粋無垢な人品の良さを、他方で完璧な論理性を追究しようとする会話は明晰で透徹した頭脳を示すとともに、予想していない土俵外からの論議にも柔軟かつ「官僚的」に反応する藤井さんに驚いた。楽しいひとときであった。
しかし、藤井さんはそのとき鬱屈していた。外務省を辞めようかとも考えたことすらあったのかもしれない。私は、何気なく、北朝鮮の法律を客観的に研究する人がいないことを話した。それまでの北朝鮮研究は、北朝鮮が言う通りに祖述するか、イデオロギー的に非難するかしかなかった。とうてい学術研究ではなかったのである。そのとき藤井さんが北朝鮮法研究で博士号をとった外交官になったら「格好いいな」とか、平岩さんが茶化したかもしれない。藤井さんの鬱々とした表情が一瞬で明るくなった。
それ以後、藤井さんは、北朝鮮法研究に邁進しはじめた。水を得た魚であった。平岩さんは、遊び盛りの子供に大好きなおもちゃを与えたようなものだ、と的確に表現した。毎週土曜日の午後、東京・港区三田の慶應義塾大学のゼミ用の教室を断りもなく勝手に借りて北朝鮮の勉強会を始めた。そのときのメンバーは、藤井さんが法律、平岩さんが外交と国際関係、坂井隆さんが政治動向、私が政治史を担当して報告しあった。ときどき筑波大学教授古田博司さんが参加して朝鮮の歴史と文化について斬新な見方と深い薀蓄を傾け、みんなを唸らせるとともに、蒙を啓いてくれた。

 

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